11月21日(木)18:30より
生涯学習講座『いま改めて知る、ヒグマのこと』が開催されました。
講師を務めてくださったのはえりも町地域おこし協力隊の鈴木亜室さん。
鈴木さんは酪農学園大学野生生物生態学研究室にてヒグマ研究を行い、
卒業後も継続して調査に研究されています。
現在は地域おこし協力隊員として昆布ボートクルーズ運営補助業務の他、
北海道ATガイド、北海道アウトドアガイドとして、自然ガイドや環境省任命の
国立公園内パトロールも行っています。
講演会では、基本的なヒグマの特徴や生活、幕別町内での出没状況、
ヒグマと出会わないためには、また出会ったときの対応などが紹介されました。
大まかな一年間の行動パターンとして、
3~5月:冬眠あけ
5~7月:繁殖期
8~9月:端境期
10~11月:食いだめ
12~3月:冬眠・出産
というサイクルでヒグマは生活しているそうです。
また、ヒグマは「草食寄りの雑食」とのことで、頭骨標本を見ると
しっかりとした臼歯があることが分かります。
季節ごとの主な食べ物としては
春:ミズバショウ・フキ・イラクサなど
夏:アリなどの昆虫、ヤマグワなど
秋:ドングリ類・ヤマブドウなど
ということでした。
幕別町ホームページにはヒグマ出没地点マップが掲載されていますが
令和3年度~6年度までの出没件数は横ばいとのことでした。
聴講者の中には「ウォーキングの最中ヒグマらしきものを見たので、
今日の講演会を聴きに来ました」とおっしゃる方もおり、
「目撃情報を行政側に伝えることでさまざまな情報が集積する。もしヒグマを
目撃したら、積極的に町へ連絡を」「幕別町のようにヒグマ出没状況を公開して
いる自治体もある。旅行に出かける際は、事前に自治体のHPを参考にして」との
アドバイスがありました。
そのほかにもヒグマのフンの特徴や、遭遇しないための工夫、
護身用クマスプレーの使用方法、ヒグマの威嚇行動(ブラフチャージ)や
ヒグマの背擦り行動についてなど、興味深いお話をたくさん聞けました。
ちなみに護身用クマスプレーは高価なものですが、最近ではレンタルすることも
できるようになっています。趣味で登山をされる方、森や山に入るという方、
来シーズンはレンタルサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
また、講義後半では幕別町教育委員会の添田雄二学芸員より
帯広畜産大学と忠類ナウマン象記念館が協働して取り組んでいる
ヒグマの展示標本づくりについて紹介がありました。
駆除されたヒグマを社会教育・生涯学習へ活用するため
現在、骨格標本・毛皮標本の作製が行われています。
完成した標本は、忠類ナウマン象記念館で展示されるとのこと。
また標本づくりについての関連講演会も3月に予定されています。
忠類で駆除された個体が、また地域に戻ってきて新たな役割を果たす…
なんだかロマンを感じますね。
今後の最新情報は、忠類ナウマン象記念館公式X(エックス)にてご確認ください。
改めましてご来場いただいたみなさま、講師の鈴木さん・添田さん
講演会開催にあたりご協力くださった方々、ありがとうございました。