6月19日(木)「大人の社会見学(新得町)」を実施しました。
大人の社会見学は毎年6月頃と10月頃に行う恒例の企画で
毎回多くの方にお申込みをいただいている人気の講座です。
今回は官製鉄道十勝線(旧狩勝線)開通により、かつて交通の要衝として
発展した十勝の玄関口、新得町を訪れました。
最初の見学場所は佐幌ダム。昭和37年8月台風の集中豪雨による洪水被害を契機に
作られた治水専用ダムです。ダム真上から湖を見学した後は地下監査廊に入り
帯広建設管理部の方より説明を受け、ダムカードをいただきました。
佐幌ダム建設の契機は昭和37年8月にかけ北海道を襲った台風9号です。
佐幌川流域の新得町では記録的な豪雨となり、家屋の流出や全半壊、床上床下浸水
などの大きな被害がありました。新得町・清水町など佐幌川流域の治水を目的として
作られた佐幌ダムは昭和59年に完成し、人々の暮らしを守っています。
なお、平成28年8月にも3つの台風が北海道を襲い、多くの河川が氾濫しました。
記憶に新しい方もいらっしゃるかもしれませんが、十勝・上川地方では
住宅の床上床下浸水が発生、JR運休、国道・道道が通行止めになり、
JR橋が流出、浸水面積は50ha、浸水家屋数は100戸以上に及びました。
こうした背景のもと、佐幌ダム建設時の確率規模である1/50(50年に一度)を
超える被災流量が確認されたことから、計画規模を1/100(100年に一度)として
設定。ダムのかさ上げにより有効貯水容量を約2割増やす「佐幌ダム再生事業」が
スタートしました。完成は令和15年(2033年)の予定です。
昼食場所である新得市街へ向かう途中、国道沿いにある「小笹川橋梁」
「ポッポの道」「SL広場」で旧狩勝線にまつわる鉄道遺産を見学しました。
旧狩勝線は海抜844mの狩勝峠を超えるため、1000m進むと25m上る急こう配、
最小180mの急カーブが続く厳しい峠越えの路線は、大変過酷なものでした。
木材や農産物などの物資を運ぶため最大けん引重量を560tに設定されており
鉄道敷設に際しては地盤整備が行われ、各所の橋梁も頑丈に作られました。
下新内川を渡る「小笹川橋梁」は2003年に土木学会選奨土木遺産にも選ばれ
鉄道用レンガアーチ橋の中では国内最大級のものです。レンガ積みのアーチ橋は
保存状態もよく、原型がしっかりと維持されていました。
お昼は新得サロンさくらほか、駅周辺の飲食店で昼食時間を取りました。
お蕎麦やラーメンなど、みなさん思い思いのものを召し上がり
オープンしたばかりの地域交流センター「とくとく」内のお土産売り場で
買い物をしたり、鉄道遺産コーナー「ポッポ」を訪れていました。
「ポッポ」には鉄道輸送の大動脈として旧狩勝線が活躍していた時代の
ことがまとめられており、昔の新得駅前周辺のジオラマがありました。
建物の窓から見える、現在の駅周辺の様子と見比べることもできます。
午後は、町内にある私設鉄道博物館「大崎ミュージアム」を訪れました。
館内には長年鉄道機関士を務めた大崎和男さんによる鉄道関連品がひしめき、
その充実したコレクションに受講者のみなさん圧倒されていました。
電気が通るより前に発車ブザー代わりに使われていた鐘や、映画『鉄道員』の
小道具として使われていたカバンや台本など、興味深いものがたくさん。
現在も精力的に絵画や執筆、カメラなどのアートに取り組んでいる大崎さんから
もっといろいろなお話を伺ってみたいと感じました。
その後は共働学舎やそばの館を訪れました。みなさんソフトクリームを食べたり
お土産を買ったりしてのんびりと過ごしていらっしゃいました。
当日は好天を通り越して33.5℃という高温。あまりの暑さに心配になりましたが
受講生全員がケガや体調不良もなく、無事帰路に就くことができました。
改めまして大人の社会見学にご参加いただいたみなさま、
佐幌ダムにて解説してくださった帯広建設管理部鹿追出張所のみなさま、
昼食会場をご用意くださった「新得サロンさくら」さま、
「ポッポ」にて解説してくださった狩勝高原エコトロッコ鉄道の増田秀則さま、
大崎ミュージアムの大崎ご夫妻、新得町内の関係各所のみなさま、
そして新得町までの道のりを安全に運行してくださった運転手さん、
この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
10月にもこの「大人の社会見学」を開催予定です。
人気講座の為抽選の結果参加いただけないこともありますが、お申込みいただかないと
参加のチャンスもありません。まずはみなさまからのお申込みをお待ちしております!