新たな視点で蝦夷文化考古館とアイヌ文化を考えるきっかけになりました

3月4日(金)北海道博物館と幕別町百年記念ホールの共催で
生涯学習講演会「十勝のアイヌ文化の歴史と現在」が行われました。
これは2月2日から3月7日まで開催の「北海道博物館 第10回アイヌ文化巡回展 2022幕別
『アイヌ語地名を歩く~山田秀三の地名研究から~』」の関連事業です。

講演と対談、ワークショップの3本立てで行い、20代から80代まで
町内外から30名の方が参加されました。

最初の講演は2月4日に行われたアイヌ文化講座(北海道博物館・幕別町教育委員会共催)でも
登壇された北海道博物館アイヌ民族文化研究センター長の小川正人氏を講師に招き、
「資料館をつくる―アイヌ民族によるアイヌ文化展示の歴史をたどる―」と題してご講演いただきました。
<展示する>という側面から見たアイヌ文化や文化伝承の課題、考古館を開設した吉田菊太郎氏の
思いを限られた時間で解説していただき、知見を広げた受講者も多かったようです。

休憩を挟んだ後半は、前半から引き続き小川氏とマクンベツアイヌ文化伝承保存会の
会長廣川昌嘉氏、廣川和子氏による対談を行いました。
アイヌの当事者から見る蝦夷文化考古館や吉田菊太郎氏、世間でのアイヌ文化の
語られ方についてご自身や仲間の実体験も交えてざっくばらんにお話しいただきました。

最後はワークショップでムックリの演奏体験を行いました。初めてムックリを手にする方や
ムックリを持参した方など様々でしたが、あちらこちらでムックリらしい音が響いてきました。

先日、建て替え報道のあった蝦夷文化考古館については幕別町教育委員会の添田主幹に
話題が振られる場面もありました。
現在申請中の国からの交付金が交付決定となれば、施設のリニューアルだけでなく
それに向けた地域の方々との意見交流やアイヌ文化を学ぶ機会の場なども設けられるそうです。
資料を通じて文化を伝承すること、自分事として捉えられる展示のありかたの重要性を理解でき
蝦夷文化考古館をはじめ地域の「資料館」に関心を向ける良い機会となったようです。

ご参加いただいた皆様からアンケートなどを通して
アイヌのことを知る努力をしたい、蝦夷文化考古館を見学したいという声をはじめ
多くのご意見やご感想を頂きました。
ご満足いただけた部分や改善すべき箇所もありましたので
今後も地元北海道の歴史学習の一環としてアイヌ文化に親しめるような
講座や講演会、展示会などのイベントを企画してまいります。

この場をお借りして、ご登壇いただいた小川様、廣川様ご夫妻に改めて御礼申し上げます。