7月4日(土)生涯学習講座「写謡体験講座」が行われました。
「写謡」とは能楽宝生流(ほうしょうりゅう)の台本である謡本の
流麗で風格ある文字をなぞり、能楽や書の魅力を味わうものです。
講師はお二人で、謡曲講師が能楽宝生流謡曲教授、帯広宝生会会員の永田耕司さん
書法講師が毎日書道展審査会員、奎星会おびひろ代表の八重柏冬雷さんです。
まずは永田先生から「写謡」が金沢能楽美術館で生まれた
能に新たな芸術的視点を加えたものだと説明があり
続いて能楽の概要、今回の題材である『羽衣』の解説をしていただきました。
能を大成した世阿弥の生い立ちや
宝生流が今年の大河ドラマにも登場する一橋家とのゆかりがあることなどを教わり
さらに知識が深まりました。
次に八重柏先生から宝生流謡本に使われている
「大師流」という和様(=日本らしい)書風について解説していただきました。
1799(寛政11)年に一橋家祐筆、信夫顕祖の書により発刊となった
宝生流【寛政版】の謡本は大師流の書風で書かれています。
他の流派の謡本とも見比べながら宝生流謡本の書体の美しさを味わいました。
休憩をはさみ、八重柏先生から謡本に使われている文字の解説をしていただき
いよいよ実技として写謡を行いました。
金沢能楽美術館で作成しているテキストのうち『羽衣』の一部を手本として
その上に半紙を重ねて筆ペンや毛筆でなぞり書きをしていきます。
皆さんが文字に集中されるにつれ、ますます静かに時間が流れていきます。
写謡が終了した方は会場に展示された宝生流謡本を
永田先生の解説を受けながら見ていました。
明治・大正期に出版された【寛政版】謡本や
寛政版の書体を生かしつつ現代仮名を増やした【昭和版】謡本など
貴重な資料を手に取って見ることができました。
最後に今日写謡をした『羽衣』の一節とキリ(演目の最終段)を
永田先生に謡っていただき講座終了となりました。
受講された皆さんがかなり興味を持たれていたので
ぜひまた写謡体験を企画したいと考えています。
なお、今月31日(土)にとかちプラザで
『高砂』を手本とした写謡が行われるそうです。
とてもわかりやすい解説をしていただいた講師の皆様と
受講してくださった皆様に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。